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【レビュー】待望の劇場映画化!『BLAME!』を見てきました【弐瓶勉】

投稿日:2017年6月10日 更新日:

あの名作『BLAME!』がついに待望の劇場映画化!
ファン的には何やら感慨深いものがあります!
原作弐瓶勉先生総監修のもと、「シドニアの騎士」のポリゴン・ピクチュアズのスタッフが再集結して制作された劇場版『BLAME!』。
かつて見たあの広大な階層都市を、霧亥を、シボさんを、重力子放射線射出装置を堪能することができる、こんな日が来ようとは・・・。
上映終了まではもうあまり時間がありませんが、Netflixでは劇場版と同時に公開されており、鑑賞することができます。

『BLAME!』とは?

『BLAME!』は講談社の月刊アフタヌーンで連載されていた弐瓶勉の漫画作品。

あらすじ
かつて人類は「ネット端末遺伝子」を持ち、「ネットスフィア」にアクセスすることができた。
しかし、謎の感染によってネット端末遺伝子は汚染され、ネットスフィアへの接続ができなくなってしまう。
そのまま時は流れる。都市を建設するための存在「建設者」は人類からの指示が途絶えたまま無限に建造物を作り続け、どこまでが都市なのかもわからないほど巨大な階層構造都市を作り続けている。
ネット端末遺伝子を持たない人類は不法居住者となり、不法居住者を排除する防衛機構「セーフガード」の脅威におびえながら都市の隙間を縫ってひっそりと生き延びていた。
謎の男・霧亥(キリイ)は、すでに失われたはずの「ネット端末遺伝子」を求めて都市を探索を続ける。

劇中には解説がほとんどなく、圧倒的なスケールで描かれる巨大構造物から漂う重厚でミステリアスな空気感と、キャラクターのセリフなどから明かされていくストーリーにひきこまれるSF作品。
映画化の話はこれまでに何度かあったものの、諸事情でたち消えになり、実現しませんでした。
『シドニアの騎士』がTVアニメ化され、その劇中に短編映像「BLAME!端末遺構都市」が登場。そして2015年11月についに映画化発表と相成りました。

原作の空気感もしっかり伝わる進化し続ける3Dアニメーション

独特な空気感が漂う複雑な多層構造都市

独特な空気感が漂う複雑な多層構造都市 画像出典:予告映像

鋭く荒々しい線で描かれるキャラクターと、整然とした建造物がおりなす独特の空気感を持つ漫画『BLAME!』。
制作はポリゴン・ピクチュアズ。3DCGをまるで手書きのアニメのように表現するセルルック3DCGという手法は「シドニアの騎士」でも好評でした。
『BLAME!』になるとどうなるのか気になるところではありましたが、しかしそれは全くの杞憂!
上映が開始されるとあっと言う間にその空気に引き込まれ、見れば見るほど、こうなってたのか!という発見の連続。
超構造体の茫漠とした様相や、細部の構造の動きまで描かれており、原作にあったあの空間をよりリアルに堪能することができます。

下位セーフガード「駆除系」。大量に押し寄せる姿に戦慄する。

下位セーフガード「駆除系」。大量に押し寄せる姿に戦慄する。画像出典:予告映像

個人的にぐっときたのは音響。
歩いている場所も地面ではなく、巨大な配管の上だったりするので走る時もカンカンと金属をけるような音が印象的です。
音響監督は様々なアニメで音響監督を手掛ける岩浪美和氏。
劇場で観るとより音響効果を感じやすく、何気ないシーンでもドキッとすることが度々ありました。

そういう話だったのか!わかりやすい入門編的な劇場版「BLAME!」

画像出典:予告映像

画像出典:予告映像

劇場版『BLAME!』はなんというか「わかりやすい!」
原作に登場したいくつかのエピソードやキャラクターを使ってうまくまとめてあり、世界観を理解するには十分とも言えます。
弐瓶先生曰く「説明を最低限にとどめ読者に想像させる」という狙いで描かれたという原作漫画。
『BLAME!』だけでなく、のちに描かれた「アバラ」や「バイオメガ」など、「何を言ってるのかわからない」のが弐瓶作品の良さとも言えますが、どんな話なの?と聞かれても、「危なっかしい銃を持った謎の男・霧亥が、巨大な建物の中をうろうろして、襲ってきた敵に銃をぶっ放す感じの話だよ」としか言えません。
なので、ファン的には失格かもしれませんが、映画を見ながら「こんな話だったのか!」と妙に納得してしまいました。
弐瓶作品は何いってるかわかんねーんだよなーという人も安心です!

シボさんが!づるが!サナカンが!まさかの美少女オンパレード!

スレンダー美女シボさん。コツコツいう足音が印象的。

スレンダー美女シボさん。コツコツいう足音が印象的。 画像出典:予告映像

とにかく女の子がかわいい!BLAME!なのに!
もうまさかこれが『BLAME!』だとはだれも思うまいというくらいに女の子がかわいいのです。まあいいんだけれども!
シボさんはもちろん、今回メインで活躍する「づる」が超かわいい。

づるかわいいよづる。

づるかわいいよづる。 画像出典:予告映像

そしてさらにファンの度肝を抜くこと間違いなしなのは、セーフガード「サナカン」。
漫画に登場する「サナカン」はまさに恐怖の象徴とも言える存在であり、その恐ろしい風貌と圧倒的な存在感は逆に多くのファンを惹きつけました。
そのサナカンがまさかの美少女化!これは是非本編で確認していただきたいところ。

サナカンの顔の変化は「たえ」がベースだからなのかも。

サナカンの顔の変化は「たえ」がベースだからなのかも。 画像出典:予告映像

誰でも楽しめるSFアニメーション

映像化されているSF作品は多くありますが、『BLAME!』のような作品はあまり観たことがないのではないでしょうか。
そういう意味ではSFが好きな人でも、新鮮な感覚で楽しめる作品だと思います。
原作を知っていると『BLAME!』と言えば難解な作品で・・・などと先入観や、蘊蓄などが先に来てしまうところもあるかもしれませんが、映像化に際し再構築されたことによって、原作を知っていても知らなくても、純粋に楽しむことができます。
また、再構成されたシナリオをみて感じたのは、『BLAME!』もまた「多層構造都市を舞台にした一つの物語」であるということです。
霧亥の周囲だけでなく、この都市全体で常にどこかでドラマが起こっている。
今語られているのがリアルタイムの出来事なのか、何かの記録なのか、語り継がれた物語であるのか。時間の感覚が失われているこの世界では、それすらも定かではないのではないか。
そんなことが頭によぎり、『BLAME!』という作品と世界観の奥深さを感じました。
『BLAME!』という作品が好きになる、そんな映画に仕上がっています。

小説化にスピンオフも!あわせて読みたいオススメ「弐瓶勉」作品!

『BLAME!』劇場版公開に合わせて、「BLAME!新装版」など様々な関連書籍が発売されています。
ここでいくつかご紹介。
BLAME!の世界に浸りたいという方はぜひ!

新装版BLAME!1~6巻
漫画BLAME!が新装版で登場。描きおろしの表紙がかっこいい!
劇場版ではセーフガードと人類の戦いが描かれますが、その他にも様々な勢力が登場し、混沌とした世界観をより深く堪能できます。

劇場版BLAME! 弐瓶勉描きおろし 設定資料集
原作者弐瓶勉先生が劇場版用に描きおろしたキャラクターデザインや、背景などの設定資料集。
すべてのキャラクターは劇場版用に新たにデザインされたとのこと。スーツの可動部分などの細かい指示や、劇中のシーンの指示なども多く収録された大満足の一冊。

小説BLAME! 大地の記憶
マルドゥック・スクランブルや天地明察でもおなじみ、SF小説の大家・冲方丁氏がBLAME!をノベライズ!
重厚な世界観を新たな視点で堪能できる一冊です。難解な世界観を知る一助に!

BLAME! THE ANTHOLOGY (ハヤカワ文庫)
日本を代表するSF作家が描く「BLAME!」のスピンオフ作品集。
「BLAME!」という作品そのものが巨大階層都市を舞台とした一つの物語であるので、様々な切り取り方ができる作品であると感じます。
九岡望による青い塗料を探す男の奇妙な冒険、小川一水が綴る珪素生命と検温者の邂逅、野崎まどが明かす都市の片隅で起きた怪事件、酉島伝法が描く“月”を求めた人々の物語、飛浩隆による本篇の二千年後から始まる歴史のスケッチなど、書き下ろし全5篇を収録。

漫画 人形の国 1巻
弐瓶勉先生最新作。
BLAME!の時からとは大きく変わったタッチで描かれる、シンプルなタッチで描かれた最新作。
絵柄は「シドニアの騎士」から続いている形ですが、女の子などがいっそうかわいく描かれているのが見所の一つ。
「BLAME!」と「アバラ」と「バイオメガ」と「シドニアの騎士」を足して割った感じ。
「シドニアの騎士」では弐瓶先生のどこにこんな引き出しがとファンを唖然とさせた王道ラブコメでしたが、今回は王道少年漫画のような展開。
今後の展開にも期待大!


映画マジ良かった。ほんと良かった。

この勢いで「アバラ」と「バイオメガ」を!

そういえば、設定資料集にあったんだけど、あの霧亥が持ってるエナジーバーみたいな食べ物「シャキサク」っていうのね。

たしかに原作では「シャキ」「サク」って食べてる!

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